当ページでは、JavaScriptを使用しております。
ご使用のブラウザのJavaScript機能を有効にして、ページを再読込してください。

東北大学 産学連携先端材料研究開発センター (MaSC)

プロジェクト

Projects

プロジェクト

先進スマート流体・ソフトマターの創製とデバイス応用

代表者氏名・所属部局(機関)名・職名

中野 政身・未来科学技術共同研究センター・特任教授

研究の概要

電場や磁場そして外力等に反応して粘弾性等の物理的性質や電気・磁気的性質が変化する先進スマート流体やソフトマターを開発し、これらのスマート材料を活用したダンパ、ブレーキ、クラッチ、アクチュエータ、センサ、振動発電等の高機能デバイスの創成を図り、一般産業機械、車両、ロボット等の各種システムへの応用・実用化と社会実装への展開を行います。

研究の目的

電場や磁場そして外力等に反応して粘弾性等の物理的性質や電気・磁気的性質が変化する、先進スマート流体・ソフトマテリアルを新規に研究・開発し、これらのスマート材料に特有の機能性を活かした高機能デバイスを創成して、一般産業機械、車両、ロボット等の各種システムへの応用・実用化を図り社会実装へと展開する。

期待される効果

先進スマート流体・ソフトマターとしては、電場や磁場を印加するとその粘性が大きく変化するER(Electro-Rheological)流体やMR(Magneto-Rheological)流体、そしてそれらの延長線上で創製するMR流体多孔質コンポジット、ドライMR流体(オイルフリーの高流動性の粉体)、MRエラストマー、Shear-thickening流体などが新規に創製され、これらの特有の機能性と特徴を活かしたダンパ、ブレーキ、クラッチ、アクチュエータ、センサ、振動発電等の高機能デバイスの開発が期待される。ひいては、開発したこれらの高機能デバイスの一般産業機械、車両、ロボット等の各種システムへの社会実装の効果が期待される。

実績

産学連携研究を主体に、下記の研究成果が得られている。

  1. 磁場印加により粘性が大きく変化するMR流体を作動媒体とする車両用ブレーキを開発し、超小型EVの四輪に搭載してBrake by wireシステムを構築して、ブレーキ能力やABS制御の評価を行い、柔軟な制御性と高速応答性を実証して、実用化レベルの開発を行っている。
  2. 卓越した流動性と高いMR効果、そして比較的過酷な使用環境でも使用できる高性能なオイルフリーのドライMR流体(高流動性を示す磁性粉体)を開発している。開発したドライMR流体の一つの特徴である-50℃~160℃の低温から高温環境まで安定して使用可能な特徴を活かして、ドライMR流体を作動媒体とした車両用ドライMR流体ブレーキを開発し、超小型EVの四輪に搭載してBrake by wireシステムを構築してブレーキ性能の評価を行い、幅広い熱環境に強靭で、かつ柔軟な制御性と高速応答性を有することを実証し、実用化レベルの開発を実現している。

    先進スマート流体・ソフトマターの創製とデバイス応用
  3. 不織布等の多孔質体にMR流体を含侵させたMR流体多孔質コンポジットを創製し、その特徴である高いMR効果とMR流体中に分散した磁性粒子の沈降回避等の特徴を活かした、建築構造物の免震・制振用の直動型のダンパを開発している。本ダンパは、ダンパの直動運動を回転運動に変換するボールネジと変換された回転運動に制動トルクを与えるMR流体多孔質コンポジットからなる回転型ブレーキとからなり、ほぼ通常のMR流体を用いたMR流体ダンパと同様な減衰性能を呈することを明らかにしている。

    先進スマート流体・ソフトマターの創製とデバイス応用
  4. 車両システムの安定性や乗り心地向上を目的に、鉄道車両の台車のカーブ走行時の安定性を向上するための、Shear-Thickening流体(STF)を活用したダンパを内蔵したゴム軸継手や、車両の乗り心地向上を目指した2つの永久磁石ペアからなる非線形負剛性発生装置を装着した車両用MR流体ダンパ・支持バネサスペンション系等を開発している。
    Shear-Thickeningゴム継手は、STFがあるせん断速度を越えると急激に粘度が増大する特性を有していることから、振動周波数によって剛性が変化する可変剛性機能を発揮することを明らかにし、鉄道車両のカーブ走行時の安定性向上に結び付くことを提示することができた。


    先進スマート流体・ソフトマターの創製とデバイス応用

    また、2つの永久磁石ペアからなる非線形負剛性発生装置を装着した車両用MR流体ダンパ・支持バネサスペンション系は、ファジー制御を適用して減衰だけでなく剛性可変も施すことによって、従来のオイルダンパーを用いたパッシブサスペンション系やMR流体ダンパを用いたセミアクティブサスペンション系の性能と比較して、著しい振動制御性能を発揮することを実証できた。

  5. 駆動モータと被駆動体との間に設置するMR流体クラッチを開発し、実機での実証試験を実施し、優れた回転数可変制御が可能なことを実証し、さらに、製品化レベルの試作機を開発している。
  6. シリコンゴム等のマトリックスに強磁性体微粒子を分散して固化させた各種エラストマーを創製して、より高性能な剛性可変機能を有する新規なMRエラストマーを開発している。このMRエラストマーの剛性可変機能を研磨ヘッドの局所面圧制御デバイスへ応用することを目的に、MRエラストマーシートの印加磁場による剛性可変機能を活用して局所的に面圧を高くできる面圧制御が可能なように、そのシートに局所分布磁場を印加可能な多数の磁場印加セグメントからなる分布磁場印加装置を試作している。その分布磁場印加装置を用いて局所分布磁場をシートに印加することによって局所的にシート面圧を高くできることを実証し、局所面圧制御可能な研磨装置の試作を試みている。
  7. 粒子配向MRエラストマーがそのせん断変形に対して透磁率が大きく変化することを見出し、その特徴的な特性を活用してファラデーの電磁誘導の法則を利用して振動エネルギーを電気エネルギーに変換する振動発電システムを開発している。

    先進スマート流体・ソフトマターの創製とデバイス応用

キーワード

磁気粘性(MR)流体、MR流体多孔質コンポジット、ドライMR流体、MRエラストマー、Shear-thickening流体、ブレーキ、クラッチ、ダンパ、アクチュエータ、振動制御、振動発電、免震・制振、車両

該当するSDGsへの取り組み

  • 7. エネルギーをみんなに、そしてクリーンに
  • 9. 産業と技術革新の基盤をつくろう
  • 11. 住み続けられるまちづくりを
  • 12. つくる責任、つかう責任
  • 17. パートナーシップで目標を達成しよう

連絡先

TEL:022-217-3848
E-mail address: masami.nakano.b2*tohoku.ac.jp
*を@に変換してください。
HP: 未来科学技術共同研究センター 研究者リスト

pagetop